2人目の子どもの妊娠が分かったときに、出生前診断について妻と話合いました。
私が38歳と高齢であったこと、1人目の子どもが三角頭蓋の疑いがあったことで出生前診断のことを話し合うこととなりました。
結果的に1人目の子どもは三角頭蓋ではないとの診断を受けましたが、仮にそうであった場合にどんな治療や教育をしてあげるべきか、生活のリズムはどうなるのかなど、色々なケースを想定したり。
2人目の妊娠の際に妻はNIPTを希望していましたが、最終的には妊娠超音波検査のみで終えることになりました。
そこに至るまでに調べたことなどを記しておきます。
新型出生前診断(NIPT)について

母親の血液中には胎児の遺伝子(DNA)も10%程度含まれているので、胎児を傷つけることなく遺伝子異常の有無を検査することができます。
また、妊娠高血圧の発症予知や、父親の遺伝子確認のためにも使われています。
検査は妊娠8~10週目から可能となり、2週間程度で結果が分かります。
費用は産婦人科学会認定の施設では15~20万円程度、非認定施設でも同程度の価格設定となっています。
新型出生前診断(NIPT)の課題
NIPT後の中絶率はかなり高いです。
13トリソミー、もしくは18トリソミーの陽性の場合6割強、21トリソミーに至っては9割近くのケースで中絶を選択しています。
このようにNIPTは命の選別になってしまうという声も少なからずあって、日本産婦人科学会は検査の有無に関わらずカウンセリンングを同時に行うように求めています。
日本の認定施設
日本では日本医学会が実施施設の認定を行っている。施設の認定基準としては、
- 産婦人科医と小児科医が常勤で勤務しており、いずれかが臨床遺伝専門医の資格を有している。
- 遺伝に関する専門外来を開設している。
- 遺伝カウンセリングの体勢が整備されている。
等が求められ、2016年12月現在78施設が「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」の認定施設となっています。
認定外の施設の紹介

ラジュボークリニックは産婦人科学会の認定外ですが、認定遺伝カウンセラーが在籍しているクリニックです。
メリットとしては
- 年齢制限が無い
- 陽性の場合の羊水検査費用を全額負担してくれる
- 土日の検査も可能
- 先に無料での電話相談も可能
- 検査費用が明確に示されている
- 他より安い
このような点が挙げられるかと思います。
特に安いというのは検討に値するメリットではないでしょうか。
こちらのクリニックでは、性別検査を項目から外した最も安価で検査を受けられる『ミニマムプラン』を設けているので、費用で二の足を踏んでいた方にとっては検査を受けやすいかと思います。
ただ、提携している機関がやや少なめであること、患者満足度の調査を行っていないことが残念な点ですね。
我が家で検討した新生児出生前診断
新生児出生前診断という検査があるのは知っていましたが、その内容に関しては詳しく知りませんでした。
仮に妻が希望するなら受ければ良いかなと思っていたんですね。
ある日に妻から出生前診断を考えていると言われ、この時初めて詳しく調べてみることにしました。
- 新生児出生前診断は公的保険でなく、完全な自費での検査となること
- その検査費は20万円近くするところが多いこと
- 検査の希望があったとしても、認定施設で受けるためにはその医療機関の倫理委員会をパスしないといけないこと
- 倫理委員会での検査対象の基準は女性の年齢の比重が高く、35歳以上が基本であること。もしくは第1子に遺伝的異常があることが適用要件とされている
第1子に遺伝的異常が無く、妻も35歳未満だったので倫理委員会ではおそらく許可されないことが分かりました。
それでも妻の検査希望は強かったので、エコーによる胎児スクリーニングを行うことにしました。
通常の検診時のエコー検査とは異なり、胎児超音波検査と呼ばれています。
胎児超音波検査でわかること
胎児超音波検査では以下の項目を調べています。
- 胎児の数(多胎妊娠の可能性があるか)
- 胎児の向き(逆子など)
- 胎児の大きさ(体重)と羊水量
- 胎児の元気さ(胎盤機能)
- 胎児の形態異常の評価(顔、性別や体の中に異常がないか、など)
検査を行う時期によって見る項目は異なってきますが、胎児に遺伝子異常など先天的な異常の有無を確認しています。
ただ、エコーで分かる異常には限界があるので、流れとしてはこの胎児超音波検査で異常があると思われる場合に、羊水検査などのより精度の高い検査を行うことで高い確率で先天的な異常を拾い上げることができるようになります。
パパが考える新生児出生前診断
ここからは自分の正直な思いを書きます。障害を持つ子どもやその家族を乏しめる意図は全くありません。
自分の中でネックとなったのは、仮に遺伝子異常が見つかった場合にどうするかということ。
正直なところ、ダウン症であったりエドワード症候群であったりした場合に自分が育てていけるかどうか、自分が元気な間は育てていけるとしてもその後はどうなる?上の子どもに面倒を見させることになるのか。
遺伝子異常があった場合にそうでない場合と比べて短命であるのは明らかで、就職、結婚、出産などに著しく制限がかかってしまうのは今から分かっていることで。
色々なことを考えて、果たしてこの世に出してあげることが子どものためなのかどうか。
というか、本人の意志を考えずに親が勝手にこういう考えに至るのもエゴではないのか。
しかし、NIPTを受けないまま生まれてきた子どもが遺伝子異常があることを出生後に知ったときに私も、そして妻もそれを受け入れることができるのか。
ダウン症の子どもを持つ親が『自分の子どもは天使』とか言っている人もいるけど、親からすれば自分の子どもはみんな天使なわけで。
認定機関では妻の年齢などで検査を受けられないので、非認定機関で受けることも可能ではありましたが、その費用の大きさも私の二の足を踏む原因となっていました。
こんな葛藤の末に胎児超音波検査へとたどり着きました。
当然ここでスクリーニングで引っかかればその後の羊水検査、柔毛検査へ移行する予定をしていました。

NIPTは命の選別と言われても私は否定しない
認定機関では必ずカウンセリングを行います。
それは私のように色々な葛藤が必ず起こるからです。
この葛藤は不必要なものではなく、NIPTを受けるに当たっては必ず通るべき道と考えています。
おそらく先にこの葛藤がなければ、仮に中絶を行った場合に心にかかるストレスは相当なものになるでしょう。
NIPTが命の選別になると言われてもそれを否定はしません。
そもそも自然界では弱肉強食というのは摂理に基づいた真理であり、足が悪く走れなければ敵に食べられてしまうのは当然で。
人間だけがその淘汰に逆らうのは果たして自然と呼べるのか。
我が家ではこんな内容で話し合いをしましたが、他の家庭がどんな選択をしてもそれを責めるわけではないですし、責められることでもないと考えます。
あなたならどうしますか?